海苔のはなし

海苔の産地として有名な有明海のこと、その有明海に面した長崎県・島原市で海苔の養殖を営む「しのさん」こと 篠塚光信さんについてご紹介します。

海苔の産地・有明海

九州の4県(福岡、佐賀、長崎、熊本)にまたがる有明海は、九州最大の湾。100以上の河川が山の栄養分を海へ運ぶことで、海水と淡水が混じり合い、生態系豊かな干潟が広がっています。

また、干満差が最大6mもあるため、満潮と干潮を利用した独自の「支柱式」と呼ばれる海苔の養殖方法が行われています。この方法は、満潮時に海からの栄養を吸収し、干潮時に太陽の光を浴び光合成をすることを繰り返し、海苔を育てる方法です。

この、有明海の水質と干満差に、有明海産海苔の美味しさの秘密があるようです。

 

しのさんちの海苔

「できるだけ多くの人に美味しい海苔を食べてもらいたい」そんな想いを胸に、しのさんは今日も海へ出る。

海面から頭をだした海苔網は、太陽光でしっかりと乾かすことで、アミノ酸が増え、甘みと旨みをしっかり含んだ海苔になる。
この、海苔の風味を引き出す「干出(かんしゅつ)」という作業に、島原沿岸は他の土地に比べ適していると言われています。
ただ、海苔網を乾燥させる間は海苔の成長を止めてしまうため、収穫出来るまでには時間も労力もかかるのですが、「そこは美味しさのためだから」と しのさん。

18歳から海苔をはじめて40数年。

「美味しい海苔をつくる秘訣は〈経験〉よ。何度もえらい目にあって、そこから反省しての繰り返しで今があるけんね」

この海苔には、しのさんが海と育んだ年輪が刻まれている。

海苔のあれこれ

海苔の「一番摘み」とは?

【一番摘み】
網から一番最初に収穫する新芽の海苔。希少性が高く、しなやかで口溶けがよく繊細な甘みが特徴。まずは温かいごはんの上に乗せて、海苔本来の香りと味をお楽しみください。

【二番摘み】
一番摘み以降、収穫するごとに「二番摘み」「三番摘み」と呼び名が変わります。一番摘みに比べると歯ごたえがあり、味に深みが出てきます。海苔の質がしっかりしているので、おにぎりや巻物にもおすすめです。

海苔は炙ると風味が増す

海苔には「板海苔」(生海苔を乾燥させて板状にしたもの)、「焼海苔」(「板海苔」を軽く焼いたもの)、「味付海苔」(「板海苔」に味を付けたもの)があります。中でも「板海苔」は、食べる直前にコンロやオーブントースターなどで軽く炙ることで、海苔本来の風味をご家庭で味わって頂けます。ぜひ、お好みの塩梅を見つけてみて下さい。炙りすぎると苦くなるので注意!

海苔の収穫時期

一般的な収穫時期は11月から3月の間です。
海水温が一番低くなる12月下旬から1月にかけて育ったものが 美味しいと言われています。

海苔の保存方法

開封のものは冷蔵庫で保存してください。開封後は密閉度の高い袋や容器へ入れ、できるだけ中の空気を抜いた状態のまま冷蔵庫で保存します。